潰瘍性大腸炎について

潰瘍性大腸炎について

国の指定難病である潰瘍性大腸炎がどのような病気なのかを見ていきましょう

 

潰瘍性大腸炎はどのような病気か

主に大腸の粘膜に慢性の炎症を引き起こし、下痢、血便、発熱、体重減少などの症状が出る炎症性の腸疾患。日本においては指定難病に分類されており、未だ有効な治療は確立されていない疾患になります。

発症年齢は20~40代に多く診られ、男女比ではやや女性の方が罹患率が高くなっており、近年では内視鏡検査技術の向上や病気の認知度が上がったことなどにより患者数は増加傾向にあります。

同じ慢性の腸疾患であるクローン病とも症状が似ているが、潰瘍性大腸炎では粘膜の炎症が大腸に限局しているのが特徴になります。

また、潰瘍性大腸炎は炎症する部位によって直腸炎型、左大腸炎型、大腸全体に炎症が起きる全大腸型などがありますが、直腸炎型が多く診られます。

 

潰瘍性大腸炎の原因

原因は不明とされていますが、免疫の異常や心理的な異常が指摘されているためにストレスとの関与は大いにあるとされています。

県外の大学へ行き、1人暮らしを始めた途端に潰瘍性大腸炎になってしまった友人がいます。

また、食生活の欧米化による脂質の取りすぎも原因ではないかと言われています。

 

潰瘍性大腸炎の症状

腹痛、下痢、発熱、血便などがあり、長期にわたると貧血や体重減少などの全身症状が出てくることもあります。

 

潰瘍性大腸炎の治療について

問診する男性医師

潰瘍性大腸炎の治療について病院での治療や鍼灸治療の効果など見ていきましょう。

 

病院での治療について

病院での治療の原則は内科的な薬物療法となり副腎皮質ホルモン(ステロイド)などの炎症を抑える薬によって治療を行います。

また、同時に食事療法も行われますが、低繊維食をとり食物残渣を少なくするようにします。

治療をする上で気をつけなければならないのが、抗コリン薬を過剰に投与すると大腸が拡張し麻痺性イレウスを起す中毒性巨大結腸症を誘発し、大腸からの出血、穿孔(穴が開く)、癌化した場合は手術しなければならなくなります。

潰瘍性大腸炎は治療をしていても良くなる時期と悪化する時期を繰り返しますが、薬でうまく症状を抑え食生活にも気をつけていれば健康な人とさほど変わらない生活を送ることが出きます。

ただし、全大腸炎型で10年以上経過すると癌を発症するリスクが高くなってしまいます。

 

潰瘍性大腸炎に対しての鍼灸治療

西洋医学では治療が確立されていない潰瘍性大腸炎ですが鍼灸治療の場合はどうかと言いますと、治療効果は期待できると言えます。

鍼灸治療がなぜ潰瘍性大腸炎に対して有効なのかははっきりとは解明されていない部分はありますが、鍼灸治療を受けることにより免疫機能が改善され、さらに自律神経も整うことでストレスに対抗できる体に体質改善できるからではないかと考えます。

ただし、ある程度症状の改善されるまでは週2~3回の治療を行い、半年~1年は継続していく必要があります。

また、東洋医学では潰瘍性大腸炎をはじめとした炎症性腸疾患を「痢失(りしつ)」と言い、昔から鍼灸治療は行なわれておりました。

西洋医学ではなかなか治療がうまくいかない潰瘍性大腸炎ですが、鍼灸治療で改善させることは可能になりますので、お悩みの方は治療の選択肢としてお考え下さい。

 

潰瘍性大腸炎の鍼灸治療の症例

20代女性。

2022年5月に会社の健康診断で便潜血があることが分かり、再検査をすると直腸型の潰瘍性大腸炎と診断される。

しかし、この時は特に腹痛や下痢などの潰瘍性大腸炎と思わしき自覚症状はなかった。

CRPは0.5とやや炎症反応がある程度。

思い返すと、最初に就職した会社でのストレスから血便が出ることがあった。

6月になると潰瘍性大腸炎になったしまったことと、自宅周辺での工事の音がストレスとなり、朝の腹痛、下痢(膿血便)、残便感に加えて、耳鳴りと不正出血が起きるようになる。

※今は血便は治まっている。

【処方されている薬】

  • リアルダ錠1200※夕食後
  • レクタブル2mg注腸フォーム14回※浣腸1日2回
  • ペンタサ錠500mg 1日2回
  • クラシエ 六君子湯 1日2回

診断前の食生活は肉類やコンビニ弁当、カップラーメンなどが多かったが、今は魚を中心にし自炊を心がけている。

また、1日30分のウォーキング、入浴の際にも湯船に浸かるようにしている。

  • 脈診:沈弦やや細脈
  • 舌診:淡紅~やや紅舌、舌尖微紅刺、舌中~根に白じ苔、舌裏怒張
  • 気色診:肝胆白抜け、脾胃、大腸やや赤みあり

 

【弁証】:肝脾不和証>大腸湿熱による潰瘍性大腸炎

仕事のストレスが原因で肝鬱から脾胃に影響することで腹痛や下痢を引き起こし、さらに肉食、コンビニ弁当、カップラーメンという食生活により大腸に湿熱がたまっている状態と考える。

そのため、鍼灸治療では気の流れを良くするとともに脾胃の調節、さらに湿熱をとる治療を行っていく。
治療はまずは週2回のペースで行っていく。

初回の治療後から耳鳴りがほとんど気にならなくなるが、腹痛と下痢、残便感に変化はなし。

2回目の治療後から日によっては形のある便が出るようになり、残便感も少しマシになる。

4診目以降は週1回の治療に変更するが、下痢の回数が減り、ほとんど固形の便が出るようになる。

7診目には下痢はほぼ出なくなり、残便感もあまり気にならなくなる。

8診目の数日後に1泊2日の旅行に行くと腹痛はなかったが、下痢になる。

9診目、1日中腹痛が起きる日があったが、病院での血液検査ではCRPが0.05と正常値になっていたため、1ヶ月後に内視鏡検査をすることになる。

10診目、週末になると調子が悪くなり、下痢と残便感が強くなる。

11診目以降は調子よく、腹痛、下痢、残便感がほとんどなし。

15診目、内視鏡検査の結果、大腸の炎症が治まっており、組織学的にも完解状態となっているため、薬の量が半分になり、年に1回の内視鏡検査で様子を見ることになる。

また、鍼灸治療もしばらくは月に2回継続していく。



プロフィール

【国家資格】
はり師、きゅう師、あん摩・マッサージ・指圧師

【鍼灸師になったきっかけ】
小学校から専門学校までバスケットボールをしており、高校時代に某高校のバスケットボール部のトレーナーをしている方の鍼灸院に怪我の治療でお世話になったことがきっかけ。
高校卒業後はスポーツトレーナーを目指し、トライデントスポーツ健康科学専門学校※現名古屋平成看護医療専門学校に通い、卒業後に名古屋鍼灸学校にて2009年にはり師、きゅう師、あん摩・マッサージ・指圧師国家資格を取得。
現在は不妊症をはじめとした婦人科疾患や皮膚疾患、精神疾患などの治療に力を入れております。

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