女性は一定の年齢に達すると妊娠することができる身体になりますが、排卵後に妊娠しなかった場合に子宮内膜が剥がれ落ちることにより生理が起こります。
その際に下腹部に痛みがあれば生理痛ということになります。
生理痛は女性を悩ませる症状の1つでありますが痛みは人それぞれであり、ドーンとした痛み、刺すような痛み、締め付けられるような痛みなどがあります。
生理痛が起きる原因は「子宮の筋肉の過度の収縮」によるものになります。
そして、この筋肉の収縮と関係してくるのが「プロスタグランジン」という物質になります。
このプロスタグランジンは痛みや炎症を引き起こす発痛物質の1つになり、過剰に分泌されることで激しい子宮筋の収縮が起こり生理痛が起こります。
※陣痛の正体もこのプロスタグランジンになります。
また、生理痛には何かしらの隠れた病気が潜んでいることがありますが、その代表的なものがこちらになります。
病気によるものではない生理痛(月経困難症)であればそれほど心配する必要はありませんが、病気による生理痛(器質性月経困難症)の場合はやはり1度病院で検査をする必要が出てきます。
あまりにも痛みがある場合はまずは医師に相談してみましょう。
こういったケースでは思わぬ病気が隠れていることもあるため注意が必要になります。
生理痛が酷い方の場合は 冷や汗をかいたり、動けなくなる、救急車を呼んだことがあるなど本当に大変な思いをする方もいらっしゃいます。
生理痛が昔からある方の中には「生理痛はあってあたりまえ」という考え方をお持ちの方もいらっしゃいます。
しかし、本来は生理痛はないのが理想となります。
実際に当院の患者様の中では過去にあまりの痛みで救急車を呼んだら、片側の卵管が捻じれている結果、血流が行かなくなっており腐っていたために緊急手術を受けた・・・という方がいらっしゃいました。
この方は痛みに強い方だったようですが、普段の生理痛も一般的に考えればかなりの痛みであったということが予想できます。
そのため、痛みに強い方や我慢強い方は特に注意が必要です。
生理痛の場合は婦人科を受診することになりますが、婦人科での治療の基本は薬での治療となります。
生理痛の治療の基本は痛み止めでの対処療法となります。
痛み止めでの対処療法なら市販の薬でも良いのでは?と考えてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、生理痛の原因を特定するためにも婦人科は受診するようにしましょう。
後に子宮や卵巣に問題があった・・・ということが判明すれば結婚し、子供を考えた時に不妊治療も大変になってしまいます。
痛みが強い場合はピルによるホルモン療法を行うこともあります。
こういったことが原因で生理痛が起きている場合に行われることが多くなります。
ホルモン療法のメリットはわざと閉経した状態にすることで生理を止めることと、過多月経による貧血の改善もできるという点です。
また、生理前の不快な症状であるPMSの症状も抑えることができます。
デメリットとしては吐き気や血栓症などの副作用があるため注意が必要になります。
ピルに関しては自分に合うものと合わないものがあるため、一度だけで判断せず、医師と相談しながら行うようにしましょう。
生理痛の原因として器質的な問題があれば手術をすることもあります。
器質的な問題というのは構造の問題ということになり、子宮内膜症、腺筋症、子宮筋腫、卵巣嚢腫、卵管と他の臓器との癒着などが原因の場合は手術の対象となってきます。
こういったことが原因で生理痛が起きているかどうかを確かめるためにも婦人科は受診するようにしましょう。
生理痛を和らげるために自分自身でもできることはございます。
セルフ灸、食事、運動、ストレス対策etc・・・
あとはやるか・やらないかでも結果が変わってくるため、少しでも自力で改善したい場合は習慣づけるようにしましょう。
【セルフケア】生理痛を和らげるために抑えておきたい5つのツボ
生理痛に対する鍼灸治療の効果はどうなのか?についてお話していきます。
基本的に生理痛に対する鍼灸治療の効果は高く、その場でも変化を感じることができます。
タイミングの問題でもありますが、生理痛があるタイミングで鍼灸治療を受けることができれば、鍼を刺して数分後には生理痛による下腹部痛が楽になるということはしばしばあります。
しかし、すべての方がタイミングよく鍼を受けることができるわけではありません。
そのため、鍼灸治療を受ける場合は生理期間外にもしっかりと受けているかどうかが重要になってきます。
生理以外の時にも鍼灸を受けることで自律神経を整えたり、血流を良くしておくことが生理痛改善につながってきます。
まずは週1回の治療から行っていき、生理痛が楽になってきたら、月に2回ほどのペースに変えていくようにしましょう。
参考サイト:科学が実証! 鍼治療で生理痛が50%軽くなる!?
鍼灸では効果が見込めない生理痛ももちろんあります。
以下のようなケースでは鍼灸では改善が難しくなります。
こういったことが原因で生理痛が起きている場合は鍼灸ではなく、婦人科での治療を選択するようにしましょう。
東洋医学での生理痛の考え方もご紹介していきます。
まず、痛みの基本的な考え方としては2つの考え方があります。
この2つが東洋医学での痛みの基本的な考え方となります。
この考え方を基本として東洋医学では生理痛は以下のような原因で起こり、また特徴的な症状もあります。
一言で生理痛と言っても東洋医学ではこれだけの原因が考えられますが、これが全てではありません。
実際には一人ひとりの身体を診て判断する必要があります。
そのため、「生理痛だからこのツボ」というような安易な鍼灸治療では本当に生理痛を改善することはできないと言えます。
当院では一人ひとりの生理痛の原因を東洋医学の観点からしっかりと見極めて、体質改善することで生理痛を改善するための鍼灸遅漏を行っていきます。
33歳女性。
高校からニュージーランドへ留学していたが、留学1年目に突然腹痛が起こり救急車で運ばれ、検査を受けると左右の卵巣嚢腫と診断。
右側の卵巣が15~16センチ、左側が5〜6㎝あり、右側が頚捻転していたためにオペにて摘出する。
大学は日本の大学に進学しており、定期的に婦人科も受診していたが、特に問題はなかった。
29歳の時に保育士として働いていたが、ストレスから生理痛出始めたため、婦人科を受診すると左側に15㎝ほどの嚢腫ができており、さらに子宮筋腫も発覚したため、手術をする。
手術後の生理痛に関しては薬を飲めば問題ないぐらいになっていたが、しっかりと改善したいということで当院へ来院。
【弁証】:肝鬱気滞血瘀証による生理痛
週1回のペースで鍼灸治療を開始し、3回目の施術を終えた4日後に初回の生理が来たが、薬を飲むほどではなかった。
その後も週1回のペースで治療を継続していき、3回目の生理の時には薬を飲まなくても生理痛はほとんど気にならない状態にまで改善する。
4周期目からは生理7~10日ほど前と生理期間中に鍼灸を行うが、生理痛はほぼ無い状態のため、治療は終了。
生理痛の治療というと痛み止めを飲むという対処療法がメインになってしまいますが、鍼灸であれば根本から改善することが期待できます。
だだし、器質的な問題がある場合は鍼灸では改善が難しいケースもあるため、まずは婦人科で生理痛の原因が何かをしっかりと診断してもらうようにしましょう。
薬に頼りたくない方やしっかりと生理痛を改善したい方は鍼灸治療もご検討ください。