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更年期とは西洋医学では卵巣機能が低下する45歳~55歳の約10年の間のことを言い、この時期に個人差はあるものの、様々な不定愁訴が現れてくることを更年期障害と言います。
早い方では40代前半から症状が出始める方もいますが、逆にまったく症状が出ない方もいます。
更年期障害の原因は西洋医学では卵巣機能の低下によるエストロゲンという女性ホルモンの低下が原因とされています。
月経という生理現象があるため、女性の身体は男性以上に年齢による身体の変化が大きくなります。
症状は多様になり、身体的な症状と精神的な症状があり、日常生活にも影響が出てしまいます。
卵巣からエストロゲンの分泌が不足し、脳にある自律神経系の最高中枢である視床下部の指令により下垂体から卵胞刺激ホルモンと呼ばれる卵巣に指令を出すホルモンが過剰に分泌されるために卵胞刺激ホルモンの血中濃度が高くなります。
視床下部は体温の調整をはじめ、血管、血圧、心拍、皮膚、発汗など、自律神経の中枢であるため、卵巣からのフィードバックが急に減少すると自律神経にも影響し、それによって不調が起こりやすくなるのです。
不足したエストロゲンというホルモンを薬により補充することにより症状の改善を図ります。
何かしらの事情で薬が使用できなう場合や西洋薬に頼りたくない方に対しては体質改善を目的に漢方薬が処方されます。
抑うつ感や気力がないなどの更年期うつの症状が強い方に対しては抗うつ剤などが処方されます。
当院でもご相談が多い更年期障害ですが、多くの方はまずは病院で治療を受けているがなかなか改善されないために鍼灸治療を選択される方が多くいらっしゃいます。
東洋医学では西洋医学とは身体の診方が違った違ってきますが、更年期障害の場合は西洋医学ともリンクしてくる部分があります。
特に東洋医学では年齢と体の変化という考え方が古くからあり、この考え方から女性の体を診ていくと面白いことが判明します。
・六七(42歳)で皆顔はやつれ、髪は白くなり始める。
・七七(49歳)で任脈が虚し、太衝脈が衰え、天癸は涸れ、地道通じず、故に子供を作れない。(閉経)
では、東洋医学ではどのように考えるのでしょうか?
東洋医学では更年期障害の多くの原因は「腎虚」が関係してくると考えられます。
東洋医学では子宮や卵巣などの生殖機能は腎との関わりが深いとされています。また、体の成長・発育とも関係があります。
そのため、加齢によって腎虚になることにより卵巣機能が低下することにより、更年期障害による様々な不定愁訴が出てきてしまうことになります。
腎虚になることにより不定愁訴が出てしまうか?というのが問題になりますが、これは東洋医学独特の内臓のバランスが関係してきます。
西洋医学では内臓と内臓の働きは基本的には切り分けて考えられます。その証拠が診療科が分かれていることです。
しかし、東洋医学では内臓と内臓はつながりを持っているという関係があるため、1つの臓器に異常が現れることにより、他の臓器にも異常が現れるという考えがあります。
更年期障害は鍼灸治療の得意分野になります。
更年期障害はホルモンバランスの乱れに加えて、自律神経系の乱れも関連しているため、ホルモンバランスと自律神経系を整える治療を行っていきます。
東洋医学の素晴らしいところは多くの症状を一つひとつ分けて考えるのではなく、総合的に判断し治療を行うことができるため、多くの症状を一気に治療することが可能になり、敏感な方ですと鍼を1本づつ打っている最中に身体の変化に気づかれます。
具体的には個々人の体質を東洋医学の観点から見極めて治療を行っていきます。
鍼灸治療は婦人科疾患との相性が非常に良いため更年期障害の方に対して非常に有効な治療の選択肢になります。