起立性調節障害に対する鍼灸治療の症例

起立性調節障害に対する鍼灸治療の症例

鍼灸治療

思春期の子供に見られる朝起きられない、不眠、めまいなどの症状は起立性調節障害という自律神経系の乱れが原因かもしれません。

この病気は薬での治療も可能ですが、効果はいま1つとされています。

そのため、薬での治療とともに生活習慣の改善を行う必要がありますが、鍼灸治療でも改善することができます。

当院でも起立性調節障害に対しての治療経験があるため、症例をご紹介させていただきますので、参考になればと思います。

【中学生や高校生が気を付けたい起立性調節障害とはどのような病気か?】

 

【13歳 男性】 起立性調節障害

2021年1月来院。

1年ほど前から不眠の症状が出るようになり学校を休みがちになるが、原因は担任とのトラブル。

このトラブルの発端は同級生とのけんかで、相手を気絶させてしまったことで一方的に自分が悪者扱いされてしまったこと。

学校へは行く気はあるが、朝なかなか起きることができない。

また、当初は不眠と朝起きられないこと以外にも以下のような症状があった。

  • 食欲低下で空腹感も感じない
  • 下痢
  • 光が苦手
  • 息切れ
  • 倦怠感

メンタルクリニックへ通院し、薬も処方されるが、ほとんど効果がないため今は薬は飲んでいない。

昨年春の緊急事態宣言が解除されたころはボチボチ学校へは行けていたが、2学期は1/3ほどしか行けていない。

【体表観察】

  • 脈診:沈滑細やや数脈
  • 舌診:淡紅舌、舌尖~舌辺にかけて紅刺
  • 空間診:右上横

 

【弁証】:肝鬱化火証による起立性調節障害

治療は百会、天枢を使用すると脈幅が広がり、当日はしっかりと眠ることができ、翌日の朝も起きることができた。

しかし、2日目以降はまた眠れず、朝も起きられない。

週1のペースで治療を続けていくと、睡眠は日によって寝れる日も出てきて、また朝も少しづつ起きることができるようになる。

6診目には朝もしっかりと起きることができるようになり、学校へも行き始める。

7診目にはテストを受けるために毎日学校へ行けるようになった。

8診目、9診目はそれぞれ2週間、3週間と治療間隔をあけて様子を見るが、毎日学校へ行けているため、9診目で治療を終了。

 

【考察】

夜に寝れない、朝起きれない状態になってしまったのは学校でのトラブルによるストレスでした。

このストレスにより自律神経の乱れが生じたため、自律神経を整えるための治療を起こったところ、しっかりと改善することができました。

東洋医学的にはストレスにより体の中に熱がこもっていたことが原因であったため、この熱を取る治療を行いました。

 


 

【16歳 男性】 起立性調節障害

2020年11月来院。

高校に入学するも新型コロナウイルスの影響によりリモートでの授業が行われる。

また、野球部に入部するも練習ができない、大会が中止になってしまう。

緊急事態宣言解除後は学校での授業が行われるようになり、野球の練習も始まる。

7月に練習中に左ひじを骨折し固定することになったが、骨折ではなく成長線と見間違えていたため、実はただの打撲であった。

そのため、公式戦に出ることができなかったことでショックを受ける。

8月下旬ごろから自力で朝起きることができなくなる。

また、朝は車で学校まで連れて行くが、自力で行くことができないため学校は休みがちになるが、午後からは調子が良くなることが多い。

10月に入ると今度は夜に寝ることもできなくなったため、メンタルクリニックを受診する。

病院では絵を描くことによる心理状態を診てもらうも、うつ病ではなく起立性調節障害と診断される。

 

【その他の症状】
疲れやすい、寝れない、雨の日が特に症状がひどい、頭痛(朝が多く、側頭部に締め付けられる感じ)

脈拍:仰臥位で50拍、座位で78拍

 

【体表観察】

  • 脈診:沈細遅脈
  • 腹診:腹部全体に邪あり
  • 舌診:淡紅舌、微黄苔

 

【弁証】:肝鬱気滞症による起立性調節障害

治療は百会、太衝、後ケイから2穴使用して、週1回のペースで行っていく。

治療当日からぐっすりと寝ることができるようになり、翌日の朝は今までは1時間かかって起きていたが、40分ほどで起きることができるようになる。

2診目以降は脈拍が寝た状態でも60~70拍になる。

5診目の頃には15~30分ほどで起きて行動することができるようになり、睡眠も問題なく取れるようになる。

8診目は冬休みに入り、2週間治療間隔を開けたことと、やや生活リズムが乱れたため年明けは少し起きるのが辛くなったが、治療翌日からは問題なく起きることができるようになる。

9診目からは3週間間隔をあけるも問題なう学校へ行けているため、治療終了。

 

【考察】

新型コロナによるリモート授業、大会の中止、練習ができないといったストレスもありましたが、一番の理由は左ひじのケガのご診断による大会に参加できなかったこと。

成長期の子供の場合はたしかに骨端線との見分けが難しい部分があるため、一般的な整形外科よりもスポーツ医学に精通した整形外科を受診することをおすすめします。

また、初診の際に血圧と脈拍を測定すると、寝た状態と立った状態で血圧に大きな変化はないが、脈拍に大きな違いがありました。

そのため、治療としては自律神経を整えるための治療を行っていったところしっかりと効果が出ました。

 

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