ストレスや食後すぐに横になる生活習慣がもたらす逆流性食道炎ですが、意外と悩まされている方が多くいらっしゃいます。
そのため、当院での逆流性食道炎に対する鍼灸治療の症例を一部ですが簡単にご紹介させていただきますので、参考になればと思います。
2年ほど前から食べ物が逆流する感覚があり、内科を受診すると「逆流性食道炎」と診断。
胃カメラで検査をすると軽い炎症があり、服薬にて治療を開始するも効果がなかったため、最寄のN治療院にて鍼灸治療を開始。
治療院では精神的なものから起きる逆流性食道炎とのことで約1年半にかけて治療を行なうも、効果なし。
その後は漢方薬局で処方された漢方薬を服用すると症状の軽減がみられたが、胃酸が上がってくる感じはまだ症状は残っている。
ホームページをみて当院に来院される。
現在の症状は食欲なく、食べたいと思わず少食。
また、食後に症状が悪化するが、空腹時の方が幾分は楽になる。
発症以前は甘いものが好きでよく食べていた。
脈診:沈弦脈、左尺位弱脈
舌診:舌質淡白、舌先紅刺、微黄苔
依然通われていた鍼灸治療院では「肝気逆」による逆流性食道炎として治療を行うも、効果がなかったため、当院では「湿困脾土」によるものと考え治療を開始。
初回の治療は左列ケツ、左豊隆に15分置鍼。
弦脈落ち着き、喉の異物感が楽になる。
その後は同処置に加えて、日によっては適宜、百会穴を加えて治療を行うこと8回で逆流性食道炎は治癒。
1年半ほど鍼灸治療を受けていても効果がなかった理由は「弁証」という東洋医学による体質診断が間違っていたからだと思われます。
肝気逆はストレスによる気の上昇が原因となりますが、湿困脾土は胃に湿痰という病理物質が過剰に溜まっていることが原因になります。
半年前から食後に胸焼け・酸っぱいものがこみ上げてくる症状がでたので近所の内科にかかったところ逆流性食道炎と診断され、薬での治療を行っており、症状としては落ち着いてはいるもののしっかりと治したいとのことで当院へ来院。
脈:滑
舌:白じ苔、歯痕あり
弁証:食滞胃カン症
【治療】
1診目:内関・足三里・公孫
2・3診目:上記に豊隆を追加
1回目の治療で症状は楽になるが、舌を診ると白じ苔(白いべっとりしたコケ)がまだ残っていたため、2回目の治療以降は豊隆穴を追加したところ舌の状態も良くなり、症状もさらに楽になり薬も飲まなくても問題なくなったため3回で治療終了。
※食滞とは胃に食べ物が停滞した状態になります。
本来は胃の次にある小腸へ消化物を運ばれるが、この機能が低下したことにより逆流が生じていた。
今年の春から転職したことをきっかけに逆流性食道炎になる。
食後の胸焼けや吐き気さらには胃痛などがあり、食事もあまり食べることができず、病因で処方された薬もあまり効果がみられない。
脈:弦細
舌:暗紅色・舌尖紅
弁証:肝気犯胃
【治療】
太衝・公孫・足三里・内関に30分置鍼
初回の治療で胃がスッキリし、食事も今までよりも取れるようになる。
2診目以降も同様の治療を続けた結果、4回の治療でほぼ症状はなくなったため治療終了。
※肝気犯胃とはストレスで胃がダメージを受けている状態であるため、ストレス発散をすることがとても重要になります!
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