あなたの基礎体温は高温期が14日続いていますか?または高温期にも関わらず低温期の体温までガクッと下がることはありませんか?
こういった基礎体温は少し問題があり、不妊の原因となっている可能性があります。
一体どのような問題があるのか?どのような治療方法があるのか?鍼灸治療の症例など見ていきましょう。
基礎体温を付けていると気になることが出てきます。
その1つとして排卵後の高温期の期間が短いということ。
通常では排卵後の高温期は14日間続き、妊娠すればそのまま高温期を維持し続けることになりますが、人によっては14日よりも早く生理が来てしまうことがあります。
この場合は不妊症の原因となる黄体機能不全という病気が隠れている可能性が出てきます。
黄体機能不全とは卵巣で育った卵胞が排卵された後にできる黄体から分泌される黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌が不充分な状態になります。
黄体ホルモン(プロゲステロン)にはこのような作用があります。
黄体ホルモン(プロゲステロン)が不足することで、受精卵が着床しにくく、高温期の体温が安定しない、短くなってしまうために不妊の原因にもなってしまいます。
このような基礎体温のグラフとなる場合は黄体機能不全の可能性があります。
ただし、黄体機能不全のように高温期に体温が低下してしまう「インプランテーションディップ」という現象もあります。もし、高温期に入ってから7日前後に体温が1日だけ下がった場合はこの現象の可能性があります。
黄体機能不全は黄体ホルモンの分泌不足が原因となりますが、この分泌不足を引き起こす原因は様々あるため、しっかりと検査をする必要があります。
黄体機能不全の検査方法と治療法について見ていきましょう。
黄体機能不全の検査方法は血液検査を行うことになります。
採血をするタイミングはいつでもできるわけではなく、月経周期では排卵後7日前後で行うことが望ましくなります。
このタイミングで行う理由は通常であれば黄体ホルモンが最も分泌されている時期になり、10ng/ml以下の場合に問題ありとなります。
黄体機能不全の治療方法は原因によって変わってきます。
視床下部や下垂体からのホルモン分泌に異常がなく、黄体からのホルモン分泌が不足している場合は服薬や注射などによるホルモン補充療法が行われます。
逆に視床下部や下垂体からホルモン分泌に問題がある中枢性の場合は排卵誘発剤に加えて、ホルモン補充のための服薬や注射も併用して行うことになります。
糖尿病や高プロラクチン血症など他の疾患が原因で起きている場合は原因疾患の治療を行うことになります。
最近の婦人科では積極的に漢方薬を処方されるため、婦人科によっては黄体機能不全の場合にも漢方薬が処方されることがあります。
そのため、黄体機能不全に効果のある漢方薬が何なのか?知りたい方も多いのではないでしょうか?
今現在、治療のために服用されているがなかなか効果が出ない、これから漢方薬での治療を考えているとなればこういった気持ちになるのは当然かと思います。
しかし、残念ながら黄体機能不全に効果がある漢方薬が何なのかをここでお教えすることはできません。それはなぜかと言えば、漢方薬は病気に対して処方するものではないからです。
西洋医学の薬は病気に対して処方するものになるため、処方される薬は基本的には同じものが処方されます。
ところが、漢方薬の場合は同じ黄体機能不全という病気でも「一人ひとりの体質が違う=原因が違う」ということになるため、効果が出る漢方薬というのは一人ひとり違ってくるということになります。
つまり、漢方薬を処方するためには東洋医学的な体質を見ることができる医師でなければ、正しい漢方薬を処方することができないため、あまり効果を得られないこともあります。
黄体機能不全のセルフケアとしてはストレス対策と冷え対策が重要です。
ストレスに関しては時々「あまり感じていない」という方もいらっしゃいますが、デスクワークにより一日中パソコンを使用している場合はそれだけでも知らず知らずのうちにストレスを受けていることになるので注意が必要です。運動や入浴後のストレッチ、趣味などを心がけるようにしましょう。
冷えに関してはホッカイロ、生姜湯、ココア、厚手の靴下、自宅でもスリッパを履くなどしっかりと対策するようにしましょう。また、ホッカイロは腰よりも下腹部に張る方が体はより温まります。
黄体機能不全は不妊の原因の中でも比較的多く見られる疾患になります。
基礎体温を付けていて高温期にも関わらず低温期に下がることが何度もあったり、高温期が14日よりも短い場合はまずは病院にて検査をすることをお勧めします。
その後、治療は薬で行っていくのか、または鍼灸治療も取り入れていくのかを判断していただければ良いかと思います。
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