【西洋医学が苦手な疾患】自律神経失調症に対する鍼灸治療の症例

辛い症状があるのに検査をしても特に異常が見つからない原因不明の体調不良である自律神経失調症ですが、原因がはっきりしないため西洋医学では苦手な疾患になります。

しかし、鍼灸治療、特に東洋医学をベースにした鍼灸治療では乱れた体のバランスを整えることで体の不調を改善していくため、得意な疾患の1つと言えます。

当院でも自律神経失調症の患者様はよく来院されるため、多くの症例を持っております。

そのため、同じようなお悩みをお持ちの方の参考となるように鍼灸治療の症例の一部をご紹介させていただきます。

【16歳男性】 起立性調節障害

悩む男性

高校に入学するも新型コロナウイルスの影響によりリモートでの授業が行われる。

緊急事態宣言解除後は学校での授業が行われていたが、8月下旬ごろから自力で朝起きることができなくなる。

また、車で学校まで連れて行くが、門でも自力で行くことができないため学校は休みがちになるが、午後からは調子が良くなることが多い。

10月に入ると今度は夜に寝ることもできなくなったため、メンタルクリニックを受診する。

病院では絵を描くことによる心理状態を診てもらうも、うつ病ではなく起立性調節障害と診断される。

 

【その他の症状】
疲れやすい、寝れない、雨の日が特に症状がひどい、頭痛(朝が多く、側頭部に締め付けられる感じ)

脈拍:仰臥位で50拍、座位で78拍

 

【体表観察】

  • 脈診:沈細遅脈
  • 腹診:腹部全体に邪あり
  • 舌診:淡紅舌、微黄苔

 

【弁証】:肝鬱気滞症による起立性調節障害

治療は百会、太衝、後ケイから2穴使用して、週1回のペースで行っていく。

治療当日からぐっすりと寝ることができるようになり、翌日の朝は今までは1時間かかって起きていたが、40分ほどで起きることができるようになる。

2診目以降は脈拍が60~70拍になる。

5診目の頃には15~30分ほどで起きて行動することができるようになり、睡眠も問題なく取れるようになる。

8診目は冬休みに入り、2週間治療感覚を開けたことと、やや生活リズムが乱れたため年明けは少し起きるのが辛くなったが、治療翌日からは問題なく起きることができるようになる。

9診目からは3週間間隔をあけるも問題なう学校へ行けているため、治療終了。

 


 

【34歳女性】 自律神経失調症による不眠症

寝れない女性

元々、名古屋に住んでいたが結婚をしたため、夫の地元である他県へと引っ越すが、姑への結婚前の挨拶の時からいびりが酷く、最初は自分に至らない点があると思っている程度だったが、結婚生活が始まってからも執拗なまでに続くようになる。姑とは同居はしていない。

最初は自分の味方になってくれていた夫でさえも気が付くと姑側につくようになり、徐々に心がやんでくるようになったため、心療内科と鍼灸治療に通い始める。

昨年末に離婚し、名古屋に帰ってくる。

約1ヶ月後から派遣社員として働くことが決まっているため、少しでも良くなって働きたいために来院。

【既往歴】
20代前半の頃にも仕事がうまく行かないために同じように状態になったことがあったが、会社をやめるとすぐに良くなった。

【自覚症状】
疲れやすい、息切れしやすい、倦怠感、食後の眠気、心配事、ふみん、イライラ、怒りっぽい、便秘、肩こり、頭痛はこめかみのズキズキと後頭部の重さ、味覚が鈍い、冷え性、雨の日が全体的にだるい、生理前に浮腫と食欲が止まらなくなる、晴れの日は体も心も元気

 

【弁証】:肝鬱気滞証による自律神経失調症

治療は後ケイと天枢を使用して週1ペースから治療を始める。

治療当日からよく眠れるようになり、便秘も解消される。治療開始3週目で生理が来るが、この3ヶ月ほどは40日周期だったが32日で来る。

新しい職場での仕事が始まったが、メンタルの方は問題なく、上司の当たりが少々きついのが気になるが夏ごろには退職されるためあまり気にしにようにしている。

6週目から治療間隔を10日に空けるがメンタルに問題はないが、会社のブラックな部分が見えてきて少々イライラすることはあり。

ただ、派遣会社の担当者から面談の際に顔つきがよくなったと言われる。

7週目から2週間に1回のペースに帰るとプライベートでの問題が起きてしまい、少し気持ちが落ち込むことがあっり睡眠の質が低下してしまう。

しかし、9診目にはこの問題は解決されたため、メンタルと睡眠は問題なくなったため10診目で治療終了。

 

【考察】
結婚、引っ越しによる環境の変化に加えて、姑からの執拗なまでのいびりというストレスにより自律神経が乱れたことが原因となります。

東洋医学的にはストレスから全身の気の流れが悪くなった状態であるため、気の流れを良くするための治療である疏肝理気という治療法を週1回のペースで行いました。

元々、名古屋に帰ってくる前から鍼灸治療を受けていたこともあり、初回の治療後から睡眠が改善され、治療を重ねていくうちに4ヶ月ほどで心も体も元気になられました。

今の職場でも少し人間関係の部分でストレスを感じることはあるようですが、夏頃には問題も解消されるようなので仕事は続けられそうということです。

 


 

【46歳女性】 自律神経失調症

10代のころから体が疲れやすく、常に全身の倦怠感があり、疲れると前頭部からコメカミにかけての頭痛、倦怠感、冷え、胃部不快感が出てくる。

その他にも疲れてくると肩こりや腰背部にも痛みが出たり、月経前になるとイライラ感・頭痛・腹痛なども出てくる。

内くるぶしの辺りに静脈の怒張がかなりある。

半年ほど前から他の鍼灸院へ通っていたが、あまり効果を感じなかったことと、自宅からやや遠いため治療を辞めて自宅から近い当院へ来院される。

また、併設していた漢方薬局で漢方薬も色々と試したが改善までにはいたっていない。

 

  • 舌診:紅舌・舌下静脈の怒張あり
  • 脈診:弦数

 

弁証:肝鬱化火、お血証

治療は百会・合谷・太衝・三陰交・足三里・公孫などから2~3穴を使用する。

肩と腰は百会で瞬時に軽くなり、頭痛も合谷・太衝・公孫をそれぞれ指で押した時点で痛みは軽減していたため、これらに鍼をしたところ頭痛もかなり軽減し、治療後には胃の不快感は消失し、全身の倦怠感も半分ほどになる。

週1回の治療を4回で症状はしっかりと改善されたため治療終了。

この方は痛みに弱いためしっかりと刺激を加えることができないため、比較的軽い刺激での治療を行ったが著効を得られている。

 


 

【39歳女性】自律神経失調症によるめまいや動機

半年ほど前からめまいや動悸、身体の痺れ、不眠症、耳鳴りが起き、特にめまいが酷いため脳神経外科に行きCT検査を受けるも異常は見つからず、処方された薬を飲むとめまいと動悸が酷くなったため、薬を止める。

しばらくは症状が続いたが、友人の勧めで鍼灸治療と漢方薬を始めると体調が楽になったが、遠方で通うのが困難なため治療の継続ができなかった。

その後、市内で鍼灸院を探し通うが治療があまり信用できないという気になりこちらの鍼灸院への通院も止め、ホームページを見て当院へ来院。

 

  • 舌:淡紅、歯痕あり、無苔、舌下静脈怒張ややあり
  • 脈:沈細無力

 

弁証:気血両虚証

治療は合谷、足三里、気海、三陰交を使用。

治療後なんとなくではあるが身体が楽になる。

 

2診目
前回の治療から1週間後。

めまいと動悸はあまり気にならなくなったが、耳鳴りと不眠がまだある。

 

4診目
3診目以降は1ヶ月半ほど身体の調子が良かったため、来院されていなかったが最近また調子が悪く、呼吸がしにくくなったため来院。

治療後には呼吸は問題なくできるようになる。

 


 

【37歳女性】 自律神経失調症による息苦しさ

転職したことがきっかけで、職場の人間関係のストレスにより体調を崩し、息苦しい、血の気が引く感じがする。

現在は病院にて処方された安定剤を飲んでいる。

既往歴としては橋本病あり。

食生活も乱れており、主にコンビニでの弁当が多い。

症状としては息切れ、動悸、爪が割れやすい、目がかすむ、むくみやすい、身体がほてる、イライラしやすい、生理前の胸の張りがあり、月経周期ははバラバラで、生理痛は月経後に締め付けるような痛みがある。

睡眠時間は4~5時間で寝付きが悪く、毎晩眠りにつくのに2~3時間はかかり、夜中に目が覚めることもある。

水分摂取量は夏場でも1日に500mlしか飲まず、排尿回数も1日2回。

 

  • 脈:細弱
  • 舌:半どん舌
  • 腹診:お腹全体が冷えているが、特にへその下の冷えが強い

 

【弁証】:気血両虚、陰虚

治療は合谷、三陰交、気海などを使用し、消耗している気血を補充していく。

治療後お腹の冷えが取れる。

週1回のペースで治療を行うことにしたところ、初回の治療後から睡眠が改善され、すぐに眠りにつくことができるようになる。

2診目以降も同様の治療を行いながらも、新たに出てきた症状に対しての治療を行い、5回の治療で終了。

以後体調管理の目的で定期的に通っていただいています。

 

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