【37歳女性】低音障害型難聴の鍼灸治療の症例

【37歳女性】低音障害型難聴の鍼灸治療の症例

低音型難聴

37歳女性の低音障害型難聴に対する鍼灸治療の症例をご紹介いたします。

 

鍼灸治療を始めるまでの経緯

今年のGW明けの週末の昼休み中に会社でテレビを観ているとテレビから聞こえてくる音や周りの人の声が二重に聞こえるようになる。

翌日に子供の溶連球菌が移ったため、38℃超えの発熱と喉の痛みが出る。

数日後に近所の耳鼻科を受診し聴力検査を受けると低音障害型難聴と診断。

アデホスコーワ、メコバラミン、カリジノゲナーゼ、イソソルビト内用液、フェキリフェナジン塩酸、カルボシスティン錠、プレドニンなどを2週間服用し、再度聴力検査を受けるがほとんど効果なし。

症状は左耳の聞こえにくさと、水が流れるような音がする。

なかなか改善しないため、鍼灸治療を希望され来院される。

 

難聴以外の自覚症状

イライラしやすい、肩こり、白髪が増えた、アレルギーあり、休日や友人といる時ははあまり聞こえにくさを感じない、環境が変わると便秘になる、入浴後は体がスッキリする。

その他、ストレス源として会社に1人合わないがいることと、夫が単身赴任中で週末にしか自宅にいないこと。

  • 脈診:やや浮弦緊脈
  • 舌診:やや淡白舌、薄白苔、舌裏怒張あり、舌尖~舌辺にかけて暗紅色
  • 腹診:左肝相火に邪あり

 

弁証(東洋医学的な体質)と治療について

弁証:肝鬱気滞、小腸経経気不利

元々、気滞血瘀体質のところに、子供の溶連球菌により発熱したことで、耳の周囲と関係のある太陽小腸経に熱が入り、この熱が現在も耳周囲にこもってしまっているために発症したと考える。

治療は後谿、肝兪、胆兪、太衝穴から当日のツボの反応を診て1~2穴使用。

週1回のペースで治療していき、4回目の治療を終えた時点で再度耳鼻科にて聴力検査を行なうと、正常範囲にまで回復。

やや電話の際に聞き取りづらさがあるため、さらに2週間治療を行い計6回で治療は終了。

 

考察

今回の難聴の発症理由はストレスとなります。

会社にて嫌な先輩がおり、あまり仕事もできないことに対してのストレスに加えて、育児もしている中で夫が近場ではあるものの平日は単身赴任、土日のみ自宅に帰ってくるという生活習慣になっていました。そのため、育児ストレスも関係してきております。

ストレスにより気の流れが悪くなることにより、特に手の太陽小腸経という耳の周囲を通る経絡に異常が起きたことにより低音障害型難聴を発症することになりました。

そのため、治療は気の流れを良くするツボを使用することにより改善しました。

難聴についてはこちら



プロフィール

【国家資格】
はり師、きゅう師、あん摩・マッサージ・指圧師

【鍼灸師になったきっかけ】
小学校から専門学校までバスケットボールをしており、高校時代に某高校のバスケットボール部のトレーナーをしている方の鍼灸院に怪我の治療でお世話になったことがきっかけ。
高校卒業後はスポーツトレーナーを目指し、トライデントスポーツ健康科学専門学校※現名古屋平成看護医療専門学校に通い、卒業後に名古屋鍼灸学校にて2009年にはり師、きゅう師、あん摩・マッサージ・指圧師国家資格を取得。
現在は不妊症をはじめとした婦人科疾患や皮膚疾患、精神疾患などの治療に力を入れております。

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