顔面神経麻痺に対する鍼灸治療の症例

60代 女性 顔面神経麻痺(ベル麻痺)の症例

顔面神経麻痺の鍼灸治療の症例

2018年12月来院。
12月7日から右耳の後ろに痛みが出る。
2日後の9日の夕方から右側の顔面に違和感を感じる。鏡を見ると右目の眼瞼下垂と唇が左側に引っ張られているために、翌日にかかりつけの内科を受診すると、MRI検査を行なうために他の病院を紹介されるが、MRIでは脳の方は問題なし。その後、耳鼻咽喉科を受診し顔面神経麻痺と診断。
孫がヘルペスウィルスに感染していたため、顔面神経麻痺でもラムゼハント症候群の可能性が高いが、まだベル麻痺かラムゼハントかは分からない。
耳鼻科ではステロイド剤とビタミン剤、抗ウィルス剤を処方されるが、孫が恐がってしまうため早く治したいということで当院を受診。

症状は右目の閉眼ができない、口笛が吹けない、しわよせができない、コップで水を飲むとこぼれるなど

ストレスに関しては夫が7月に初期の肺がんと診断され、手術をして問題ない状態になったが、本人がマイナス思考なことが非常にストレスとなっている。
その他、発症前に風邪を引いたということはなし。

脈診:沈弦脈
舌診:やや淡白気味、黄じ台
腹診:右脾募に邪あり、臍下不仁(臍の下に力が無い)

弁証および治療について

肝風内動証>肝腎陰虚証による顔面神経麻痺

治療は週2回を基本として、合谷を中心に照海穴を適宜使用しながら治療を始める。5診目ごろから口元が真っ直ぐになってくるが、食べる時やコップで水を飲む時はまだ口が歪んでしまう。
10診目から天枢穴を使用して胃経の調節も行なっていくと食事がしやすくなり、右目の眼瞼下垂も戻ってくる。
11診目からは週1回の治療に変更していくが16診目には眼瞼下垂もほぼなくなる。その後タイミングが合わず1ヶ月ほど治療が空いてしまうこともあったが悪化することもなく、順調に回復していき、19診目の5月下旬には口元の歪みや眼瞼下垂は治癒。

考察

年齢的にも肝腎陰虚という体が弱った状態の時の時にストレスが引き金となり、肝気の急激な上昇が起こる「内風」が起こり顔面神経麻痺を発症したと考えました。そのため、治療は平肝熄風のために合谷穴を使用していきました。また、途中から目や口元を通るルートである「胃経」を調節するために天枢を使用したことで症状の改善が早まりました。
また、3月は1回、4月は2回、4月~5月にかけては1ヶ月以上空いてしまっために少々時間がかかりましたが顔面神経麻痺は治癒いたしました。

Share

関連記事

生理不順で周期がバラバラになる原因は?

女性にしか起こらない生理的な現象が「月経(生理)」になりますが、特に問題のない方であれば月に1回は必ず訪れるものになります。 医学的には25日~40日以内に定期的に来ていれば問題視されることはありません。 しかし、中には[…]

[» 続きを見る]

むち打ち(交通事故治療)

交通事故による症状でこのようなお悩みはありませんか? ・むち打ちによる首の痛み ・整形外科や接骨院に通っているが良くならない ・レントゲンでは問題ないが痛みが引かない ・事故後めまいが起きるようになった 交通事故で最も多[…]

[» 続きを見る]

心身の不調をきたす5月病にご注意を

こんにちは。 名古屋の蓬祥鍼灸院の長谷川です。 新年度が始まり早1ヶ月が過ぎようとしていますが、いかがお過ごしでしょうか? 社会人の方々は今日からゴールデンウィークということで最長で9連休のため、どこかへ出かける方もいれ[…]

[» 続きを見る]

東洋医学に関するお勧め書籍

東洋医学は鍼灸師になるためには必ず勉強しなければならない科目ですが、鍼灸師の中でも東洋医学に対して好き・嫌いが分かれています。 そのため、一般の方が東洋医学について勉強するのは非常に大変です。 でも、興味があるという方に[…]

[» 続きを見る]

日本人の有給消化率

先日の治療中の患者さんとの会話。 「来月、仕事休んで旅に出ます。」という患者さんからのちょっとした報告があり、「有給ですか?」と聞くと、「もちろん!」という返事。 そこで疑問に思ったのが、日本人はどれぐらい有給を使ってい[…]

[» 続きを見る]