円形脱毛症に対する鍼灸治療の症例

円形脱毛症に対する鍼灸治療の症例

円形脱毛症は当院の得意疾患の1つになります。

円形脱毛症は自然治癒することも多々ありますが、人によっては自然治癒しなかったり、病院で治療を受けてもなかなか改善されないケースもあります。

このような場合には鍼灸治療が非常に効果的となりますので、円形脱毛症でお困りの方は鍼灸治療もご検討ください。

【鍼灸治療で円形脱毛症を改善するための心構え】

  1. 鍼灸治療を始めてもすぐには脱毛は止まりません
  2. すぐに諦めないこと
  3. できるだけ早く治療を開始すること

円形脱毛症についてはこちら

 

54歳女性 多発型脱毛症

多発型脱毛症の女性

2018年6月来院。

2月ごろに抜け毛が気になりだし、美容院に行った時に美容師から頭頂部に円形脱毛があることを指摘される。

大学病院を受診し、頭頂部以外にも大小合わせて20個ほどの脱毛があるため、医師からは多発型の脱毛症と診断される。

また、甲状腺の疑いもあったため名古屋駅にある専門医の病院を受診し検査を受けるが、甲状腺は特に問題はなかった。

セファランチン、フェキソフェナジン、フロジン、アンテベートローションを使用して治療を開始するが、脱毛自体は収まるが、4か月たってもなかなか発毛が見られないため当院を受診。

【既往歴】

  • 幼少期から湿疹あり
  • 子宮筋腫
  • 緑内障※正常眼圧
  • 花粉症

 

【その他の自覚症状】

疲れやすい、かすみ目、疲れ目、揺れるようなめまい、乾燥肌、便秘気味、乗り物酔い、冷え性、白髪が増えた、ホットフラッシュ、足腰の弱り

【体表観察】

  • 脈:沈細弱
  • 舌:淡暗色、歯痕あり、はんどん
  • 腹診:全体的に虚軟
  • 気色:肝胆白抜け

 

【弁証】:肝腎陰虚証による多発型脱毛症

治療は照海、大巨、太ケイを使用し、また脱毛部には梅花鍼を3分ほど行う。

治療ペースは最初の2か月は週2回のペースで治療を行い、以後は週1回のペースで行っていく。

13診目から脱毛部に産毛が生えてくる。

18診目には脱毛部からしっかりと発毛が始まる。

22診目には一番大きな脱毛部の状態はほぼ整ったが、左側頭部にある小さな脱毛箇所だけまだ整わない。

27診目には脱毛箇所はすべて無くなったため治療は終了。

 

【考察】

年齢的に腎の弱りが出てきていたことが原因で起きた多発型の脱毛症と考えて腎陰を補う治療を行っていきました。

また、脱毛部の血流を良くするために脱毛箇所に対して梅花鍼という頭皮専用の鍼を使用しました。

年齢や発症してからの期間を考慮すると改善するまでに半年はかかると感じたため、その旨をお伝えしておりましたが、治療期間はちょうど半年で改善することができました。

 


 

33歳男性 全頭型脱毛症

2017年6月来院。

今年の5月に会社の上司2人の不仲から職場の空気が悪くなったことがきっかけで脱毛症を発症。

当初は1箇所のみだったが、円形脱毛症になってしまったことにショックを受け、精神的に辛かったため思い切って坊主にする。

皮膚科を受診し、血液検査を行なっても特に以上はなく、ステロイドを使用した治療を行っても改善なし。

アトピー性皮膚炎などの既往歴もなし。

脱毛症になり、精神的に落ち込んだことにより食欲が低下し、睡眠の質も悪くなる。

来院した時点では仕事を休職していた。

 

【1枚目の写真は初回の来院時の状態】

脱毛が始まってから1ヶ月も経っていないため、まだまだ脱毛は続くことが予想されました。

そのため、しばらくは治療を続けても脱毛は止まらないことをご本人にもしっかりとお伝えするとともに、治療期間も約半年は必要であることをお伝えする。

治療は「肝鬱気滞」による脱毛症とし、合谷、後谿、百会、天枢などの反応を診て、その都度1~2箇所のツボを選穴し治療を行う。

その他、梅花鍼を5分程度。

 

 

 

治療を開始しするも、予想通り脱毛は進行しましたが、約2ヵ月後には発毛が始まりました。

以後も同様の治療を継続すると、しっかりと発毛が続き、10月初旬には問題ないレベルには回復したため、治療は終了。

 

 

 

当初の予測よりも半分ほどの期間で治療を終えることができましたが、まずは早期に治療を開始できたことが理由として挙げられます。

その他、会社としてもストレス源となった上司2人にしっかりと注意をしてもらえ、さらには部署の移動も行なってもらえたことでストレスから開放されたことで早期治癒に繋がりました。

 


 

40代男性 多発型の円形脱毛症

 

2016年6月来院。

仕事のストレスにより難聴を発症し、耳鼻科にてステロイド剤を使用してから脱毛が始まる。

既往歴として25歳から一人暮らしを始めたことでアトピー性皮膚炎を発症しており、また花粉症も同時期から発症している。

肝鬱化火証として治療を開始。

ストレス→気の停滞が長期に渡り熱が発生→熱により頭皮の水分がなくなる→脱毛が発症※乾燥した土に生えている草木が簡単に抜けるようなイメージ

治療2ヶ月経過すると開始当初は2箇所だけでしたが、徐々に脱毛部位も広がり、さらにはもう1箇所脱毛が起きてしまうが約5ヶ月継続することで改善しております。

脱毛症の治療は場合によってはこのように治療を始めても脱毛が続くことがあるため我慢が必要なことがあります。

 


 

30代女性 甲状腺機能低下症による円形脱毛症

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2016年8月来院。

10月に夫の仕事の都合でアメリカへ行くことになり、海外での生活によりバセドウ病のコントロールが難しくなるため、8月に甲状腺を摘出する手術を行う。

術後2週間後に脱毛症を発症してしまい、近くに鍼灸院がないため何とかして欲しいとのこと。

8月下旬から週2回の治療を開始し1ヶ月で完璧とまではいかないもののある程度は改善。

本日にて治療は終了。

腎虚による脱毛症と考え、左照海に20分置鍼、その後、梅花鍼を3分使用。

 


 

40歳男性 円形脱毛症(全頭型脱毛症)

2014年1月来院。

今年の正月に円形脱毛症に気が付くと、一気に複数個所で脱毛が始まる。

昨年も円形脱毛症にはなったことがあり、その際は自然治癒している。

インターネットで色々と調べた結果、まずは他院で光線療法を試してみるが、効果の方がいまいちよく分からなかったため、鍼灸治療を希望して当院へ来院。

現在は皮膚科などは受診していないが、仕事で皮膚科の先生と知り合いになり、全頭型と診断されている。

その他、アトピー性皮膚炎、便秘、冷え性、花粉症、腰痛あり。

 

脈:滑数・尺位は弱

舌:黄じ苔

弁証:脾胃湿熱証・腎陰虚証

 

腎ユ・太ケイ・足三里・合谷・天枢、その他、照海や曲池、陰陵泉、脱毛部分への刺鍼と散鍼。

まず解消されたのは便秘と冷え症。

1月~3月にかけては月に2~3回のペースで治療を続けていく。

治療を行ってはいるが徐々にではあるが脱毛が進んでしまうが、10診目のゴールデンウィーク頃から一気に発毛が始まる。

この頃より月2回に変更し、治療間隔をあけていくがその後もしっかりと発毛し今ではまったく問題ない状態になるだけではなく、明らかに脱毛が始まった時期よりも髪質が太くなり、ご本人の自覚としては以前よりも髪の毛の量が増えた。

1月3日に円形脱毛に気がつき、18日来院ということで早期に治療を開始することができましたが、最初の頃は脱毛が続くが、脱毛の量は最小限に抑えられています。



プロフィール
【取得資格】
はり師、きゅう師、あん摩・マッサージ・指圧師

【鍼灸師になったきっかけ】
小学校から専門学校までバスケットボールをしており、高校時代に某高校のバスケットボール部のトレーナーをしている方の鍼灸院に怪我の治療でお世話になったことがきっかけ。
高校卒業後はスポーツトレーナーを目指し、トライデントスポーツ健康科学専門学校※現名古屋平成看護医療専門学校に通い、卒業後に名古屋鍼灸学校にてはり師、きゅう師、あん摩・マッサージ・指圧師国家資格を取得。
現在は不妊症をはじめとした婦人科疾患や皮膚疾患、精神疾患などの治療に力を入れております。

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