多嚢胞卵巣症候群(PCOS)の症例

28歳 女性。

26歳の時に病院にて多嚢胞卵巣症候群(PCOS)と診断され、27歳の時に2回目の体外受精にて妊娠・出産。
二人目を考えており、できるだけ自然に妊娠したという希望で、鍼灸治療を選択。

現在は病院にも通院しており、排卵誘発剤(クロミッド)とHMG-HCG注射を行なって排卵を起こし、タイミング指導を受けている。
基礎体温はガタガタしており、2層には分かれていない。
月経周期は排卵誘発剤と注射を使用して35~38日周期、薬を使用しないと40~45日周期。

舌:淡紅舌・歯痕舌
脈:沈細弱、尺位無力

【弁証(体質)】腎虚・衝任失調証

1診目(11月16日)
右腎ユに15分置鍼。足が温かくなる。
左公孫・右列ケツに15分置鍼。
自宅でのお灸を指導。

2~6診
同施術に加えて適宜、太ケイや三陰交などを使用。
4回の治療でガタガタだった基礎体温が整い、綺麗な2層になるとともに月経周期も30日ほどになる。

7診(3月9日)
前回の治療から約1ヶ月ほど空いてしまったが、基礎体温は問題なし。
舌の白いコケの一部が剥がれている、剥苔を確認。
胃の弱りがあるとみて、足三里を追加。

8~9診
右腎ユ・右太ケイ・右足三里
今まではHMG-HCG注射を使用しなければ排卵が起きていなかったが、注射なしでも排卵が起きるようになる。

この方の体質は腎虚という生殖器のエネルギーが不足した状態でした。
女性の生殖器は子宮と卵巣。
卵巣が排卵するだけの力が足りていない状態ということになります。
また、途中で胃の弱りが出てきたため、足三里で胃の弱りを補ったところ、注射が必要なくなりました。
これは「脾胃は気血生化の源」。
脾胃が弱るとエネルギーを上手く作ることができない状態になりますが、脾胃の力を補う足三里を使用することでエネルギーを作る力が戻ったためと考えられます。

残念ながらご主人のお仕事の関係で4月に引越しが決まったため、当院での治療は終了となりました。

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